新人教育制度
1.新人教育の目的
- 新人看護職員が、基本的な臨床能力を獲得するための研修を実施することにより医療安全の確保、看護の質の向上及び早期離職防止を図る。
- 皆で育てる組織文化を醸成し、共に支えあい成長する。
- 新人教育プログラムに基づいた研修を行うことにより、新人看護職員が安全な看護ケアを提供するための臨床実践能力を習得する。
2.新人看護職員教育の体制
1)所属部署のスタッフ全員が新人看護職員を見守り、サポートする。
2)日々のOJTの中でフィードバックを繰り返し、学びを深める。
3)指導者・先輩と共に学ぶ中で、自ら学ぶ力を身に付ける。
4)新人看護職員の研修は他部署・他職種を含めた病院全体で取り組み、他職種
との連携力を身に付ける。
3.研修内容
1)院内研修プログラム
4月 |
規採用者研修・技術集合研修 看護記録研修(電子カルテ入力・看護計画・看護必要度・DPC入力など) マスタープランに基づく看護技術習得 日勤シャドウ研修 |
5月 |
シャドウ研修(日勤)ペア日勤勤務 看護技術確認研修・1ケ月フォローアップ研修 市町村新規採用職員研修 |
6月 |
医療安全研修(転倒転落・誤薬防止)・3か月フォローアップ研修 ペア日勤勤務 夜勤シャドウ・日勤逆シャドウ |
7月 |
フィジカル研修(急変対応BLS・SBRAの報告) 看護記録研修(4側面の情報収集など) 夜勤勤務を始める前に学んでおくこと 先輩と共に夜勤開始 |
8月 |
高齢者ケア研修:褥瘡・NST 認知症看護 通常夜勤開始 |
9月 |
多重課題シミュレーション研修 6か月フォローアップ研修 看護記録形式の監査 看護必要度テスト(80点以上) |
12月 |
看護倫理研修(卒後1~3年目看護職員合同)) 院内留学研修(12月から翌年7月まで) |
1月 |
高齢者患者体験研修(1~2月) |
3月 |
メンバーシップ研修 |
翌年 |
社会人基礎力研修・2年目フォローアップ研修① |
翌年 |
看護観研修② |
翌年 |
クリニカルラダ-レベルⅠ承認へ |
2)院外研修
1)市町村新規採用職員研修
2)島根県看護協会新人看護職員他施設合同研修(適宜)
3)島根県看護協会新人助産師他施設合同研修
4)オンデマンドによる自己学習システム
3)院内研修年間計画表
1. クリニカルラダーⅠ 新人看護職員 2023
2. クリニカルラダーⅡ 2・3年目看護職員 2023
3. プリセプター・実地指導者研修計画 2023
4)その他
BLS・ACLS(1~3年目までに受講)
4.研修の様子
【1年目看護職員研修】
新人集合技術研修
電子カルテ操作、感染、吸引、経管栄養、注射、採血、排泄介助、医療機器の取扱い、接遇等の講義や技術研修を受けます。その後、配属部署で実地指導者とマンツーマンでマスタプランに基づいて看護技術の経験を積みます。
採血・静脈点滴
|
導尿・バルンカテーテル挿入
吸引・酸素
感染防止対策研修
経管栄養
電子カルテ・看護記録
プリセプターとの交流会
医療安全研修
褥瘡対策研修
フィジカルアセスメント研修(急変対応)
夜勤勤務開始前の時期に急変対応・SBARの報告について学びます。
多重課題シミュレーション研修
時間の切迫した中で優先順位を考え対応できるように机上・演習で学びます。演習は動画撮影をし、実地指導者とともに振り返りをし学びを深めます。
フォローアップ研修
1か月・3か月・6か月・12か月毎に学んだことや悩みなどをみんなで共有し、自己の課題を見出し、解決していきます。
【2年目看護職員研修】
フィジカルアセスメント研修(急変対応)
フィジカルインストラクターからのシナリオを用いて、急変対応について学びます。シミュレーターを用いて実際にリームとなって対応して、その振り返りをしながら互いに学びを深めます。
看護理論研修
島根大学から講師を招き、看護理論の研修を行っています。根拠のある看護を実践するための考え方を学びます。また、看護理論を用いてケースレポートをまとめ、自分の実践した看護を理論を用いて振り返ります。
ケースレポート発表会
実践した看護を看護理論を用いて振り返りをまとめ、発表会を開催します。看護を振り返ることで看護観も見つめ直します。
フォローアップ研修
2年目を振り返り、3年目の課題を明確にします。3年で自律した看護師に成長できるよう目標を持ち看護実践をします。
【3年目看護職員研修】
リーダー研修
リーダーの役割を学び、机上のシミュレーションでリーダーとしての行動をイメージし可視化します。この研修での学びを現場の日々リーダーとしての役割を果たせるよう実践を通し深めていきます。
医療安全研修
実際のインシデントレポートを用いて KYT(危険予知トレーニング)を学びます。研修の学びを活かし、インシデント発生時に事例 KYT をおこない、再発防止対策を考え、危険予知の感性を高めることがねらいです。
ロジカルシンキング研修
物事を論理的に考えることができよう、ロジックツリー分析を学びます。論理的に分析し、わかりやすく相手に伝えるために演習を通して学びます。
フィジカル研修(急変対応)
フィジカルインストラクターからシナリオを用いた急変対応と心電図の正しい装着の仕方について学びます。急変に遭遇した時に研修での学びが活かせるよう、自己学習や定期的なトレーニングが必要です。院内で開催されるBLS、ACLS講習を卒業3年修了までに受講します。
【その他(合同研修)】
2・3年目看護職員合同 退院支援研修
当院は高齢の患者さんが多いため、入院時から退院後の生活に目を向けて課題や支援方法を考える力が必要です。この研修では退院支援に必要な基礎的な知識と地域の社会資源について学びます。
この研修で学んだことを現場で活かし、退院後の生活イメージしながら看護介入する力を付けていきます。
1~3年目看護職員合同研修 菅儀倫理研修
意思決定などの場面での倫理的なジレンマを感じた事例をもって研修に参加します。数事例を取り上げてグループワークをおこないます。ステップにそって4分割の分析法を用いて事例を分析します。看護職の倫理綱領を確認しながら、どうあるべきだったのかを考えていきます。最後に発表をおこない全体で共有します。日々起こる倫理的なジレンマに対応するための知識を得て、研修後は現場で活用していきます。