
H25.5 月経周期と子宮内膜症
産婦人科部長
寺戸 隆文 医師
最近、産婦人科領域で増えてきている病気に子宮内膜症と子宮体部(内膜)癌があります。今回は月経周期との関連で子宮内膜症のお話をしましょう。
子宮内膜症は、先ごろNHKの「ためしてガッテン」という番組でも取り上げられ、『子宮の病気ではありません』と放映されていました。本来ならば、子宮内膜は字のとおりで子宮の中にしか存在しないはずなのに、異所性に卵巣や小骨盤腹膜、さらには腸の表面や肺にまで及んでしまうこともある、良性の疾患が子宮内膜症です。 しかし放置すれば不妊の原因としての癒着だけでなく癌化することもあり、その成因にはいろいろな説がありますが、晩婚に伴う少子化とも関連して発生頻度・有病率は増えてきているようです。
発生しやすい時代背景
近年、世界的に若年化の傾向にあるといわれてはいますが、昔は初めての月経(初潮または初経:日本での平均は満12歳)は現在よりも遅く始まり、一方閉経年齢(同じく中央値は50.5歳、正常範囲は45~56歳)はもっと早かっただけでなく、その排卵のある期間に今よりも多くの妊娠・分娩がありました。
したがって一人の女性が一生の間に経験する月経の回数は、かつての多産の頃より増えてきている分だけ、子宮内膜症の発生・増悪の起こりやすい時代になってきているといえます。
子宮内膜症にはこれといった特異的な症状はありませんが、月経困難症(下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、いらいら、下痢及び憂鬱)のある方は一度婦人科を受診なさってみてはいかがでしょうか?
お悩みのかたは相談を
もし大きな「のう胞」でもあれば腹部エコーだけでも見つかることもあり、月経期間中にも実施可能です。また何も器質的病変はなくても機能性月経困難症として、痛み止めだけでなく安全で有効なホルモン剤を処方出来る場合もあります。
最近増えてきている子宮内膜症とうまく付き合うために、まずは自分に関係ありそうかどうか一緒に見てみませんか?
