泌尿器科
現在3名の常勤泌尿器科医が泌尿器科および血液浄化療法を担当し、主として尿路性器悪性疾患、尿路性器感染症、排尿障害、尿路結石症、 慢性腎臓病などの診療を行なっています。 手術は膀胱癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術、前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術を中心に、 尿路結石に対する経尿道的レーザー砕石術や透析患者に対するバスキュラーアクセス手術(内シャント)などを行なっています。 女性泌尿器科診療に関しては、2013年より骨盤臓器脱(膀胱瘤・子宮脱・直腸瘤など)に対するTVM手術を開始し、 また尿失禁手術(TVT手術、TOT手術)にも積極的に取り組んでいます。 2020年からは難治性過活動膀胱に対するボツリヌス療法を、 2023年からは前立腺肥大症に対する低侵襲手術である経尿道的前立腺吊り上げ術を行なっています。 その他、膀胱痛など多岐にわたる症状をきたす間質性膀胱炎の診療にも応じております(島根県で2施設のみ)。
前立腺癌は前立腺特異抗原(PSA)による前立腺癌のスクリーニングが広く普及したことで、 早期診断・治療が可能となりました。PSA高値の症例に対しては経直腸的前立腺多部位生検により確定診断を行い、 臨床病期に応じて治療方針を決定し、手術適応の場合は、島根大学病院や県立中央病院へロボット手術目的で紹介しております。 前立腺癌は放射線療法も有効であり、島根大学病院や県立中央病院と連携することで治療法のひとつとして選択することが可能です。 当院では内分泌療法や新規薬物療法、内分泌療法後の再燃前立腺癌に対するドセタキセルやカバジタキセルを用いた化学療法を行なっているほか、 島根大学病院で遺伝カウンセリングを受けていただけば、当院でゲノム医療を受けることができます。
また、進行腎細胞癌や尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂尿管癌)に対する分子標的治療や免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療も当院で行うことができます。
慢性腎臓病については、保存期には食事療法や薬物療法の保存的治療を行い、末期慢性腎不全に進行した症例に対しては血液透析および腹膜透析療法を施行しています。当院の血液透析ベッド数は16床で、現在、最大で48名の患者受け入れが可能です。2007年4月の大田姫野クリニック開院以降は同クリニックと緊密な連携の上で機能分担を図り、当院の役割は外来維持透析の他に、バスキュラーアクセスの造設、新規の血液透析療法導入、合併症発症時の入院透析などとしています。また、腹膜透析(PD)においては新たにホームPDシステムかぐや(自動腹膜灌流用装置)とクラウドベース通信プラットフォームであるシェアソース(腹膜透析用治療計画プログラム)を導入し、PD治療の遠隔患者管理を開始しました。さらに腎移植も積極的に推進すべき有効な治療法と考え、希望があれば島根大学病院に紹介しており、条件が整えば生体腎移植を受けることが可能です。
医師紹介
本田 聡(ほんだ さとし) 島根大学医学部 総合医療学講座 大田総合医育成センター 外科系教授(泌尿器科) 平成6年 島根医科大学卒 |
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資格等 | 日本泌尿器科学会泌尿器科指導医・専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、 ICD制度協議会ICD、日本性感染症学会認定医、排尿機能専門医、 日本思春期学会性教育認定講師、臨床研修指導医、診療特任指導医、認定病院総合診療医 | |
所属学会 | 日本泌尿器科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本透析医学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本排尿機能学会、日本緩和医療学会、日本女性骨盤底医学会、日本思春期学会、日本泌尿器腫瘍学会、日本性感染症学会、日本病院総合診療医学会、日本間質性膀胱炎研究会 | |
中村 成伸(なかむら しげのぶ) 泌尿器科部長 平成14年 島根医科大学卒 |
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資格等 | 日本泌尿器科学会泌尿器科指導医・専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡認定医、臨床研修指導医 | |
所属学会 | 日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会 | |
大西 浩生(おおにし ひろき) 泌尿器科医員 令和元年 ハンガリー国立セゲド大学医学部卒 |
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資格等 | ||
所属学会 | ||
ひとこと | 駆け出しの泌尿器科医で至らぬ点も多々あると思いますが、日々精進して参ります。 |
医師会の皆様へ
当院では、排尿障害に関連する治療において、他院に先駆けて新規の手術を導入いたしました。
過活動膀胱および神経因性膀胱の治療は、生活指導、骨盤底筋訓練などの理学療法、 膀胱訓練などの行動療法と薬物療法が優先されますが、十分に症状を管理できない場合の選択肢の一つとして、 『ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法』があります。 当科では2020年12月に難治性過活動膀胱に対する『ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法』を島根県で初めて行いました。 以降、定期的にこの手術を行い、良好な成績を収めております。 この手術は、低侵襲の日帰り手術として施行可能で、幅広い患者層で行うことができます。
また、前立腺肥大症に対する新規手術として2022年4月に保険収載された『経尿道的前立腺吊り上げ術(UroLiftシステム)』を、 2023年1月に島根県で初めて行いました。 この手術は、前立腺の中にインプラントを埋め込むことで尿道を開通させ、排尿をスムーズにする治療法で、 従来法と比較して出血が少なく、性機能温存が期待できる方法です。 極めて低侵襲手術であることから、高齢化率が4割を超えている大田医療圏において求められている治療法であり、 今後、積極的に行なっていきたいと考えております。
今後ますます泌尿器科疾患や腎疾患が増加すると予想されますが、 お困りのことがありましたらお気軽にご紹介ください。
※毎月変更となる診療科がありますので、ご確認のうえご来院ください。