H25.3 『過活動膀胱』について
臨床研修部長 ・ 泌尿器科部長
岸 浩史 医師
過活動膀胱は2001年に提唱された、尿意切迫感(我慢が難しいほどの尿意を急に感じる症状)を重視した比較的新しい疾患概念です。
過活動膀胱の患者数は非常に多く、高齢者に多い疾患で、最近の調査では40歳以上の8人に1人が過活動膀胱であると言われています。
急に尿意が……
過活動膀胱は多くの場合、自覚症状で診断できます。「週に1回以上、急に我慢が難しいほどの尿意を感じることがある」という尿意切迫感の症状に加え、「トイレへ行く回数が増えた」とか、「夜間に尿のために起きる」、「急な尿意でトイレに間に合わず尿が漏れてしまう」といった症状を伴っていれば、過活動膀胱かもしれません。
治療は薬が中心
薬物療法が過活動膀胱の中心的な治療法で、尿意を起こす膀胱収縮を抑制する抗コリン薬が代表的な薬剤です。この抗コリン薬は有効な治療薬で、お近くの医療機関でも処方してもらえますが、口渇や便秘などの副作用があり、緑内障(一部を除く)の患者さんには使用できません。
また、抗コリン薬の服用で排尿困難になることがあるため、残尿の多い患者さんや高齢男性で前立腺肥大症がある場合には注意を要します。
薬物療法の他に、水分・カフェイン・アルコール類の摂取制限や排尿習慣の改善などの日常生活指導や、尿意が生じても排尿を我慢することで膀胱容量を増加させる膀胱訓練法が有効なこともありま
す。
お悩みのかたは相談してください
尿意切迫感をはじめとする過活動膀胱の症状を、高齢や体質だから仕方ないとあきらめているかたも少なくないと思います。過活動膀胱は治療により症状の改善が期待できる疾患で、お近くの医療機関でも治療が受けられます。
過活動膀胱の諸症状でお悩みのかたは、トイレを気にしない生活ができるよう、ぜひご相談ください。