
H25.12 島根大学大田総合医育成センターの役割について
島根大学医学部総合医療学講座
大田総合医育成センター長 野宗義博 医師(教授)
大田市民の皆さんこんにちは!今回は島根大学医学部総合医療学講座と大田市立病院内に設立された、大田総合医育成センターについてお話しします。
2年前、島根の医師不足(特に外科医不足)の解消のため、大田市の寄付講座で島根大学医学部(大田市の皆さんは医大と呼ばれていますが)に総合医療学講座が誕生。全国から教官スタッフを募集され、現在私を含めて、石橋豊教授(循環器内科専門)、山形真吾教授(神経内科専門)、水本一生准教授(外科、皮膚科専門)そして、最近では本田聡准教授(泌尿器科専門)、木島庸貴助教(家庭医療学専門)の合計6名の専門医が採用されました。
そして、大田市立病院内に総合医育成センター(いわゆる仮想医学部キャンパス)を開設し、私たち教官は大田市立病院の先生がたと共同で地域医療に従事しています。また、医学部学生の指導も行っており、毎週もしくは隔週大学に講義に出向いています。
総合医育成センターの役目は、島根大学医学部卒業生に地域医療を担うことのできる総合内科医や総合外科医としての育成です。総合内科あるいは総合外科医として多岐にわたる分野で、より実践的で専門的な技術指導を目指しています。
全国的に外科希望者が年々減少してきています。一方、外科的治療は高齢者人口の増加で要望は増すばかりです。
外科は今日3K(キツイ、キタナイ、キケン)とか言われて、医学生には人気の乏しい学科となっています。でも、緊急手術などで患者の苦しみが除かれた時の外科医としての感動はすばらしものです。
この感動を若い医学生に知らせて、一人でも多くの外科医の誕生を願っています。従来の外科の3Kを、新たに5Kと呼ばれるよう、すなわちキツイ、キタナイ、キケンに加えて、手術後のカンドウ、それにカッコイイの5Kとなるように変えてゆきたいと思っています。
また、同じ島根県内の地域医療支援として、私たち教官はもとより、総合医育成センターで研修中の医師の派遣も考えています。
センターでは、今年度も多数の医学部学生や研修医を地域実習指導として受け入れ、学生の希望の専門分野を指導しています。彼らにとっては、大田市立病院の設備・機能は最適です。
現在、多くの医学生が当院に実習に訪れ、毎日がフレッシュな学生たちで、より活性化した病院に生まれ変わりつつあります。
大田の市民の皆さんには申し訳ありませんが、直接彼らが、外来や病棟で皆さんに接し、医学の本領を学ぶことで、将来地域の医療を支える医師となって島根県の各地域に帰ってくれることを切に願っています。
今までの経験を踏まえ、医学生に地域医療の魅力を理解してもらい、少しでも多くの総合医の誕生をめざし、微力ながら島根県の医療の発展のため、地域医療の向上のため、日夜惜しまず努める覚悟でいます。今後ともよろしくお願いします。
