H25.10 MRIの安全性について
放射線科医長 岡田成人 医師
MRIは大きな磁石による“ 強い磁場”と“ラジオ波(RF)”を使って画像を得ます。放射線被曝を伴うCTに比べ、低侵襲な検査と言えますが、MRIならではの特有の制限や注意があります。
① 体内の電子電機部品
ペースメーカー、移植蝸牛刺激装置(人工内耳)、植込み型除細動機などがある場合は破損、誤作動の危険があるためMRI室内に入ることはできません。
② 体内の金属
非磁性体(磁石にくっつかない)でMRI対応であるものは、検査は可能です。ただし、撮影部位付近にある場合には、アーチファクト(画像の乱れ)を生じます。
磁性体の金属で、強い磁場により移動する可能性がある場合は検査できません。
・古い脳動脈脈クリップ(MRI検査可能かどうか確認できない場合も不可)
・目など決定臓器に位置する強磁性体の破片(鉄片、弾丸)
・眼部のインプラントや材料で強磁性金属を使用しているもの
・血管内デバイス(コイル、ステント、フィルタ)で、組織に癒合していな
いもの
磁力で流量調整が可能なシャントチューブは、検査後に設定確認の必要があります。
③ 体外の金属
腕時計、携帯電話などの機器は破損の可能性があります。補聴器は、表面から隠れている場合があり要注意です。
ヘアピン、イアリング、ピアス、ネックレス、カイロ、コルセット、財布、カギ類などは外して入室しないといけません。
④ ラジオ波(RF)による発熱
貼り薬(ニトロダームなど)、アイシャドー、マスカラ、刺青、カラーコンタクトには、金属が含まれているものがあり、低温火傷発生の可能性があります。
また大きなループを作る体位(腕を組むなど)で誘導起電力が発生すると、局所的な発熱が起こる危険性があります。
⑤ その他
閉所恐怖症のかた、妊娠中(妊娠初期)、妊娠の可能性があるかた(胎児への影響は不明のため)
以上のようにMRIは低侵襲ですが、決して安全な検査とは言えません。スタッフからの検査前の確認、検査中の指示に従って、事故のないようご協力お願いします。