総合医って、何?
島根大学医学部総合医療学講座
大田総合医育成センター内科系教授 山形真吾 医師
総合医はいろいろな患者さんを診ることができる医者です。もちろん、何でもできるって訳じゃあないけれど・・・・・・。
大田市立病院にも、様々な診療科があります。内科あり、外科あり、小児科あり、産婦人科あり、脳神経外科あり、泌尿器科あり、皮膚科あり、耳鼻科、整形外科、眼科、麻酔科ペインクリニックあり、異なる分野の専門的な診療の協力で総合的な対応を可能にしています。
総合医が求められるように
けれども、ここにきて不都合も出てきています。ひとつには、高齢化の進んだ社会となり、患者さんの抱える病気も、ひとつだけではなくなったこと。
ふたつ目には専門の扱う領域は細分化し、より深くなっていることです。一人の医者が自分の専門領域しか扱わないとすれば、いったい病院に何人の医者が必要なのでしょう。
そして、救急外来には夜昼問わず患者さんが運ばれます。一人ないし二人の医者で外傷から慢性疾患の急性増悪まで、ひととおりの初期対応を試みなければなりません。
総合的な能力をもった医者が求められるようになってきました。
普通の病気と...
かぜや腹痛、肺炎やちょっとした切り傷など、小児の発熱や年寄りの尿閉など、頻度の高い病気や症状に対する初期治療をひととおりできる医師を育てていくため、体制づくりが進んでいます。大田総合医育成センターもその一つです。
心強いことに医者を目指す若者の中にも、総合的な習練をつんで行こうという志を持つ人が増えています。
医者を育てるって、簡単?
多くの分野にまたがる領域の知識や技能を身につけることは一朝一夕ではままなりません。医者になってからでも、何年もかかるんです。
医学部6年と医師国家試験を経て、初期研修2年、さらに3年の後期研修後に専門医の資格――資格制度の中に、新たに「総合診療医」が加わりました――を得る要件が備わります。
このように、独り立ちできるまでには、多くの年月と適切な習練の場が必要なのです。
大田市で、島根で育む
総合医育成センターに関わっている医師として、大田市で育った医者が、世界に羽ばたき、いつかまた地元に戻ってくれることを願っています。