
第84回 『緩和のこころオレンジバルーンプロジェクト』
最近、市立病院職員のネームプレートにオレンジ色の風船がついているのを御存じでしょうか?風船をじっくり見ると、穏やかな笑顔が描かれています。
2008年3月に、厚労省が 「緩和ケア」 啓発事業として 「オレンジバルーンプロジェクト」 を開始しました。
①暖かい色であるオレンジには、すべての苦痛をほんわりとやわらげたい思い。
②バルーンの顔には、緩和ケアによりバルーンに描かれたような表情に患者さんと一緒になりたいという思い。
③メッセージには 「緩和ケア」 ががんの治療を支える 「もう一つの大切な医療」 であることを正しく理解してもらいたいという思い。
がこめられています。
がんになった患者さんは、痛いんです。
「肉体」 が 「こころ」 が痛いんです。しかし、その痛みは病院の検査データにひとつも表れません。
今、あなたの声がきちんと主治医の先生に届いてますか?
・痛みはあなたの生きるエネルギーを奪います ・強い倦怠感は、もう何もできないという無力感をまねきます ・吐気は、あなたを一日中不快な気分にさせます ・気持ちの落ち込みはがんと戦うあなたの力を奪います ・希望が見えないことはあなたを絶望の淵においやります |
大田市立病院緩和ケアチームも、このプロジェクトに参加し、多くの患者さんの笑顔を取り戻すためにそして維持するために頑張っています。今この瞬間、あなたが苦しんでいるのなら、遠慮せずに、勇気をだして、言ってみよう。 『緩和ケアをうけたいです・・・』と。
私達は、あなたが輝いて生きられるように最善を尽くします。
平成19年度大田市立病院では、笑顔の中で254名のかわいらしい産声を聞くことができました。一方、悲しみの中で268名の尊い命をお見送りしています。
大田市唯一の総合病院として、365日休むことなく、今日もまた 「生と死」 の両面に向き合い闘っています。
大田市立病院 地域医療支援部救急センター医長 服部 晋司
