
第15回 糖尿病について
健診センター医長 山内 克実
みなさま、こんにちは。糖尿病のことについてお話しします。
今日、糖尿病患者さんの数は増え続けており、国民の7人に1人は糖尿病であると言われるほどになっています。その数は実に戦前の50倍に達しています。何故、今日糖尿病の方がこれほど増えたかと申しますと、一つは日本人が世界でも有数のインスリンというホルモンを出す力が弱い民族であるためと言われています。
インスリンは血液中のブドウ糖が増えると、すい臓から血液中に出されて、主に筋肉にブドウ糖を渡す働きをしています。このインスリンの作用は運動不足、あるいは肥満によって働きが悪くなりブドウ糖を筋肉に渡しにくくなってしまいます。
その結果、特に食事をした後のブドウ糖が血液中に残りやすくなります。血液中のブドウ糖の濃度を我々は血糖値と呼んでいますが、食後2時間後の血糖値が通常ですと140mg/dl以下なのですが、これが200mg/dlを越えている人に目の中の網膜に異常を来しやすいことより、食後2時間後の血糖値が200mg/dlを越えている人を糖尿病として分類してきました。 日本人は何故インスリンを出す力が弱い民族なのかは不明ですが、戦前、戦後で我々の生活習慣が大きく変化したことが患者さんの増加につながったことは確かです。
食生活では摂取カロリーに占める脂肪の割合の増加と患者数は比例しています。また、運動の面では自動車普及率と患者数は比例しています。 社会的な産業構造の変化がライフスタイルを変え、その結果患者さんが増えてしまったともいえます。しかし世の中を憂いていも仕方がないので、何とか対策を立てなければなりません。それはやはり食生活に気をつけることと、こまめに運動することであると思います。
そして糖尿病は初期にはほとんど症状の出ない病気ですから、年に一度は健診を受けて、正しい診断と指導を受けていただくことが大切です。
