
第87回 『こんな手術にはこの麻酔』
局所麻酔と全身麻酔ってどう違うの?
麻酔は大きく局所麻酔と全身麻酔に分かれます。 局所麻酔は手術をする部分を含む体の限られた部分の麻酔で、全身麻酔は脳を含めたからだ全体が麻酔状態になり、どの部分の手術にも対応可能な麻酔です。
局所麻酔では、局所麻酔薬を手術する部分や、その部分の痛みを伝えている神経の付近に注射して麻酔を行います。腰から注射して下半身を麻酔する脊椎麻酔や、硬膜外麻酔、末梢神経ブロックなどもこの中に含まれます。 全身麻酔では、吸入する薬や静脈注射する薬などを組み合わせて用います。
一般に、小さい手術には局所麻酔を、お腹や胸の中、脳の手術には全身麻酔を行ないます。中学生以下の子供さんでは小さなけがの手術は別として、通常は全身麻酔を行います。また、おへそから下の疾患 (婦人科疾患、虫垂炎、痔、下肢の骨折など) の手術には、局所麻酔のうち脊椎麻酔や硬膜外麻酔を選択する場合もあります。局所麻酔のあいだでも眠り薬を静脈注射すれば眠っていることもできます。
硬膜外麻酔という麻酔は、手術の部位に合わせて、背中から細い管を目的とする神経のそばまで入れ、局所麻酔薬を持続的、あるいは断続的に注入する方法です。術後もその管から麻酔薬を注入できるので、術後の鎮痛に大きな威力を発揮します。お腹の手術などでは全身麻酔と併用することが一般的です。
以上のように、患者のみなさんの状態や手術の内容によって、様々な麻酔を組み合わせたり使い分けたりして、より安全に手術が受けられるように努力しています。手術を受けられる際に、麻酔に関する質問や要望等がございましたら、どんなことでも、遠慮なくご相談ください。
大田市立病院 麻酔科部長 福田 正子
