
第61回 「麻酔科って?」
みなさんは 「麻酔科」 という科があるのをご存じでしょうか。
「麻酔」 と聞くと 「怖い、危険だ、あやしい」 といったような、あまりよくないイメージを持っている人も多いと思います。
そこで今回は、まだまだ市民権の得られていない麻酔科の仕事、中でも手術中の麻酔管理についてご紹介したいと思います。
手術というのは体の中の悪いところを取り除いたり、壊れたところを修復したりといった医療行為ですが、別の見方をすると、人為的に大きなケガ・外傷を体に加えることであるとも言えます。
麻酔科の仕事とは一言でいうと、このような外傷からみなさんの体を守ることなのです。
もし、いきなりメスでお腹を切り開かれたらどうなるでしょう。あまりの痛さに体中の筋肉はこわばり、呼吸は荒くなり、血圧や脈拍は乱高下し、そして何より恐怖のために気絶してしまうかもしれません。
麻酔というのは痛みを感じないようにすることはもちろんですが、手術中のこのような呼吸や血圧、脈拍といったものを安定させることが最も重要な目的なのです。私たちは、手術中患者さんの体の中の状態をいろいろなモニターで監視しながら、必要に応じてさまざまな治療を行なっています。
そして手術が安全に終わるように、また、持病をお持ちの場合は、それが悪化しないように管理しています。言ってみれば、手術室の中の内科医として働いているのが麻酔科医なのです。
全国的にみて麻酔科のない病院はまだまだたくさんあります。大田市立病院では他方の中小病院では珍しく麻酔科医が常勤しています。
近い将来、手術を受ける機会がある患者さんにとって、安心材料のひとつにしていただければ幸いです。
大田市立病院 麻酔科医長 福田 正子
