
第79回 『薬とのつきあい方』
「青葉は眼の薬」・・・
桜の季節も過ぎ、まさに青葉繁れる季節となりました。このように、薬に関することわざはたくさんあり、古くから健康(病気)と薬は切っても切れない関係にありました。
最近、増加の一途にある医療費のうち薬剤費の占める割合は約20%(6億円)といわれています。その薬剤費を減らすため、特許の切れた薬剤を商品化し、値段も20%~80%安いジェネリック(後発医薬品)が、規則の改正で、今年4月から処方(服薬)しやすくなりました。
これで、薬剤費の患者の自己負担も減らすことができますので、一度お試しいただければと思います。
ただし、非常に効き目のある薬であっても、開発後の期間が経過していない可能性があり、このような場合はジェネリックは処方できません。
一度、医師・薬剤師等にご相談してみてください。
一方、病気を治すためには薬はあるわけですが、いろいろな試験で安全性が確かめられた薬であっても、副作用で肝臓が悪くなったり、アレルギーがおこったり、ひどいときには命を落とす場合もあることが毎年報告されています。
病気を治すために用いられたお薬で、自分の健康を害することがあれば、元も子もありませんが、薬を服用した場合には、このような副作用が起こりうることを留意する必要があると思います。
また、健康診断や人間ドックでよく指摘される、脂肪肝、高脂血症等の生活習慣病に関連した病気は、全てとはいえませんが、かなりの人が薬の服用をしなくても、食事制限・運動療法等の生活習慣の改善で治癒することも、よく耳にされることです。
最近、多くの疾病について受診して、多種類の薬が処方される人が増加しています。このような場合、多くの薬を決められた時間にそれぞれきちんと服薬するのが難しいため、飲む時間ごとに小さな袋に入れてもらう「一包化」処方をしてもらわれる人も多くおられます。
飲み忘れ、飲み間違えがなくなり非常によいことだと考えますが、その一方で、自分の服薬している薬の名前や種類についてあまり気をつけなくなる方がよく見受けられます。
自分の病状を把握し、処方されている薬を理解することは、前述の副作用を防止する意味でも、とても大切なことですので、処方された時の薬の説明文書を保管してよく理解することが、肝要であると思われます。
「医療の質の向上」「医療費の増加の抑制」・・・
最近、このような報道のみられない日はないといっても過言ではありません。
このような問題に取り組むのは、医療関係者はもちろんですが、関連する役所や医療機関だけでなはく、特に今回述べた「薬とのつきあい方」という観点から、薬を処方・服用される人(患者)も医療における様々な場面で、主役の一人としてかかわりを持ち、よい医療環境・状況が実現できることを期待したいと思います。
大田市立病院 内科系診療部総合内科部長 赤木収二
