
第60回 ナビゲーション?
「ナビゲーション」 という言葉を、みなさんは聞いたことがありますか? ふつうこの言葉を聞いたら、乗用車についているカーナビゲーションなどを連想しますよね。
御存知のように、カーナビゲーションは、知らない場所に行くときに、 「次の信号を右に曲がってください」 といったような案内をして、目的地に迷わず行けるように誘導してくれるものです。辞書で調べてみると 「道案内」 と訳しているようです。
近年、医療分野でも、手術操作を支援する技術として、 「手術ナビゲーション」 が普及しつつあります。
このシステムは、最初に脳神経外科領域で導入され、次第に整形外科領域や耳鼻咽喉科領域でも使われるようになってきました。
大田市立病院でも2003年から、このシステムを導入し、手術を行なっています。手術中は、カーナビゲーションのように、画面でコンピューターが手術操作する位置を確認します。そして適切な固定位置や角度などを術者に正確、しかも安全に誘導してくれます。
このシステムを使うことで、患者さん自身の放射線被爆量を減らすこともできますし、より精度の高い手術が可能となります。
大田市立病院では、このシステムを用いて、軟骨がすり減って痛みがあり、日常生活に支障をきたす、 「変形性膝関節症」 や 「関節リウマチ」 の患者さんに対して、人工膝関節置換術を行なっています。
さらに、高齢の人などが、ちょっとした段差で足がひっかかり転倒することで生じた、 「大腿骨転子部骨折」 の患者さんに対しても、骨接合術の際にナビゲーションシステムを用いることで、より正確で安全な手術を行なうことができています。
興味のある人は、整形外科外来にお越しください。ナビゲートさせていただきます。
大田市立病院 整形外科医長 熊橋 伸之
