
第67回 緩和ケアとは?
緩和ケアって、ご存知ですか?
緩和ケアとは、治癒を目的とした治療に反応しなくなった病気(その多くは、がん)を持つ患者の痛みをはじめとする不快な症状を取り除くだけでなく、精神的な苦痛を軽減し、患者やご家族の意思を尊重しながら可能な限り最期の日まで有意義な時間を過ごせるように支援することです。
このような目標を達成するためには、緩和ケアは最終末期だけでなく、それ以前の早い病気の患者に対しても、がん病変の治療と同時に行なうこと、患者と死別したあとも家族の苦痛に対する配慮が大切であると言われています。
緩和ケアは、患者の自宅で行なう 「在宅緩和ケア」 と、病院などの施設に入院して行なう 「施設緩和ケア」 に区分することができます。
「施設緩和ケア」 は、さらに院内病棟型、院内独立型、完全独立型、緩和ケアチームに区分されています。在宅緩和ケアは 「自分のペースを守ることができる」、 「家族と過ごすことができる」 などの長所、反面 「病状の急変に対し、迅速な対応をとることができない」、 「家族への看護負担が過大となりやすい」 などの短所があります。
施設緩和ケアの長所、短所は、在宅緩和ケアの逆になりますが、患者の意思、状態、さらに患者を取り巻く療養環境などの変化に応じて、双方の長所を生かすように適切なケアを選択することが重要と考えます。
そこで大田市立病院では、緩和ケアチームを発足し、院内でのケアを充実させることを目標に、定期的にケアカンファレンスなども行なっております。また、在宅緩和ケアを希望される人には、医療相談室を窓口に大田に広がりつつあるネットワークを、みなさんが利用できるようお手伝いをしています。
現在日本では、約3人に1人が、がんで死亡していますので、自分や身近な人ががんになることは、まれなことではないのです。
誰でもなる可能性があるがんと言う病気ですから、誰でも何処でも希望にかなった緩和ケアが受けられるように、大田の地域も早くなればよいと思っています。
大田市立病院 外科系診療部副部長 坂下 吉弘
