
第73回 食べてなおす!
中国で古くから伝わる 「医食同源(いしょくどうげん)」 という言葉がありますが、これは 「病気を治すことも食事を食べることも生命を養い健康を保つためで、その本質は同じである (広辞苑より) 」という考え方です。
このことが、最近医療の中で見直されるようになってきています。ここ数年、高齢の患者さんが大変多くなり、それにともなって栄養状態があまりよくない状態で病気にかかられている方が増えてきています。栄養状態が悪いと褥瘡 (じょくそう) などの創傷 (そうしょう) が治りにくい、手術後の回復が遅い、感染症などが発生しやすいなど、身体のいろいろな面に悪影響を及ぼし治療の障害になることがあります。
そこで、最近いろいろな病院でNST (栄養サポートチーム) と呼ばれるチームが組織されるようになりました。これはさまざまな職種 (医師・栄養士・看護師・薬剤師・検査技師・リハビリ療法士など) があつまり、栄養に関してそれぞれの立場からの専門的な意見を持ちよって、栄養管理を行なうチームのことです。
この栄養サポートチームが中心となって、患者様の栄養管理をきちんと行い、病気の治療の手助けをしようという活動が盛んに行なわれるようになってきています。
大田市立病院においても、平成17年4月から栄養サポートチームが発足し、活動を行なっています。具体的には、入院される患者様全員の栄養状態を評価、また問題がある患者様のところには回診に行ったり、退院後の栄養指導を行なったりしています。そして、それぞれの患者様の体の状態にあった栄養療法を提供できるよう、 「食べて病気をなおす!」 を合言葉にしてチームみんなでがんばっています。
何らかの病気で大田市立病院を受診された際には、少しだけ 「栄養」 のことも気にかけていただければと思います。そして、食事や栄養のことについて、何かしら疑問がありましたら、お気軽に声をかけていただいたら幸いです。
大田市立病院 救急センター医長 ※NSTディレクター 近藤 成
