第80回 『夜間頻尿や不眠に悩んでいる方に』
今回は高齢者の不眠に対する夜間頻尿の影響についてお話したいと思います。
眠りについてから2回以上排尿に起きる状況を夜間頻尿といいます。この定義からすると、多くの高齢者の方が、自分も夜間頻尿だと思われるのではないでしょうか。
夜間頻尿は夜間多尿か膀胱容量の減少で起こり、その両方が関係していることが多いようです。
また、加齢に伴って血中のカテコラミンは高くなりますが、夜間頻尿の方の血中カテコラミンは夜間頻尿のない方より高値です。カテコラミン高値では日中の腎血管抵抗が高く、腎血流量が不十分で必要な尿量が産生できません。
そのため、細胞外水分量が増加し、むくみの原因となります。このような人が臥位になると下半身に貯まった水分が循環され尿に排泄され、結果的に就寝中の尿量が増加して夜間頻尿を増悪させます。
また、最近話題になっている排尿の病態に過活動膀胱があります。これは尿意切迫感(急に起こる、抑えられないような強い尿意)を呈する状態であり、膀胱容量の減少がみられ、夜間頻尿も高頻度に合併します。
原因としては、脳血管障害や脊髄の障害、さらに前立腺肥大症でもみられることがあります。
ですから、尿意切迫感や夜間頻尿の症状のある方は、泌尿器科の外来を受診していただき、まずは過活動膀胱の治療を行なうことで夜間頻尿も改善され、結果的に不眠も解消されることが期待できます。
一方で、実質的な排尿の必要がない場合でも、高齢者では夜間睡眠が妨げられているとトイレに行くことが知られています。
従って、不眠を治療することで、逆に夜間頻尿が改善する場合があります。こうした観点から外来治療において睡眠薬を夜間頻尿の治療目的で使用することがあります。
患者さんは、癖になるからと内服を自重する方も居られますが、最近の睡眠薬は作用時間も短く、内服量を間違わなければ比較的安全に使用できると考えます。
大田市には当院に加えて、大田市駅近くにある大田姫野クリニックにも泌尿器科専門医が居られますので、症状に心当たりのある方は早めの受診をお勧めします。
大田市立病院 泌尿器科医長 和田幸弘
眠りについてから2回以上排尿に起きる状況を夜間頻尿といいます。この定義からすると、多くの高齢者の方が、自分も夜間頻尿だと思われるのではないでしょうか。
夜間頻尿は夜間多尿か膀胱容量の減少で起こり、その両方が関係していることが多いようです。
また、加齢に伴って血中のカテコラミンは高くなりますが、夜間頻尿の方の血中カテコラミンは夜間頻尿のない方より高値です。カテコラミン高値では日中の腎血管抵抗が高く、腎血流量が不十分で必要な尿量が産生できません。
そのため、細胞外水分量が増加し、むくみの原因となります。このような人が臥位になると下半身に貯まった水分が循環され尿に排泄され、結果的に就寝中の尿量が増加して夜間頻尿を増悪させます。
また、最近話題になっている排尿の病態に過活動膀胱があります。これは尿意切迫感(急に起こる、抑えられないような強い尿意)を呈する状態であり、膀胱容量の減少がみられ、夜間頻尿も高頻度に合併します。
原因としては、脳血管障害や脊髄の障害、さらに前立腺肥大症でもみられることがあります。
ですから、尿意切迫感や夜間頻尿の症状のある方は、泌尿器科の外来を受診していただき、まずは過活動膀胱の治療を行なうことで夜間頻尿も改善され、結果的に不眠も解消されることが期待できます。
一方で、実質的な排尿の必要がない場合でも、高齢者では夜間睡眠が妨げられているとトイレに行くことが知られています。
従って、不眠を治療することで、逆に夜間頻尿が改善する場合があります。こうした観点から外来治療において睡眠薬を夜間頻尿の治療目的で使用することがあります。
患者さんは、癖になるからと内服を自重する方も居られますが、最近の睡眠薬は作用時間も短く、内服量を間違わなければ比較的安全に使用できると考えます。
大田市には当院に加えて、大田市駅近くにある大田姫野クリニックにも泌尿器科専門医が居られますので、症状に心当たりのある方は早めの受診をお勧めします。
大田市立病院 泌尿器科医長 和田幸弘