第04回 脳卒中のはなし(2)
神経内科(院長) 岡田 和悟
前回は脳卒中の分類とまえぶれサインについて説明しました。今回は、脳卒中の各病気ごとの症状と検査についておおまかに説明します。
脳卒中のうち約4分の1を占める脳出血は、高血圧を患っている方に多く、日中の活動時に、突然の頭痛、意識障害、半身の麻痺を示す場合が典型的です。
あとで述べるCTスキャンの出現後、小さな脳出血もしばしば見つけられるようになりましたが、いずれにしても入院、治療が必要です。
クモ膜下出血は、若い方も含めて脳の血管にこぶ(動脈瘤)を持つ方に起こり、突然の頭痛(後頭部を強く殴られたような)、嘔気、嘔吐をともない、首が前後に硬くなり(頚部硬直)、意識障害を示す場合もあります。
脳梗塞の症状としては、半身の運動障害が多く、片方の手や足のみの場合もあります。その他に、障害を受ける脳の部位により、感覚障害(半身の感覚が鈍くなる)や失語症(ことばが話せない、理解できない)、平衡障害(ふらつき)、視野障害(視野の半分が見えなくなる)などの症状を示す場合もあります。
脳梗塞が多発すると、飲み込みやしゃべりにくさあるいは小刻みな歩行や痴呆などを示す場合があります。病巣が、大脳と脊髄の中継部分(脳幹)に起きたり、広範囲の場合には、意識障害が伴う場合もあります。
高齢の方で、心臓病(心房細動と呼ばれる不整脈や弁膜症、心筋梗塞など)を患っておられる方で、心臓にできた血液のかたまりが、脳の血管につまる脳塞栓症が増加していることが指摘されています。
脳卒中が疑われる方に行う検査として、レントゲンを用いたCTスキャンがあります。頭蓋骨で保護されている脳を360度の方向から撮影してコンピューターで画像を作る方法です。検査は数分で済み、結果もすぐ分かります。
大田市立病院では最新のCTスキャンを2台備え、救急医療に常時対応しています。このCTスキャンでは脳の出血性の病気は、すぐ診断できますが、脳梗塞を診断するには症状が出てから、数時間が必要です。
一方、MRI(磁気共鳴装置)とよばれる強力な磁力を用いた器械では、最新の撮影法で発病後30分以内の脳梗塞の診断が可能で、血管の状態も分かるため、治療方法の選択に非常に役立っています。しかし、この検査は磁力を用いるため心臓ペースメーカーを入れた方や脳の動脈瘤の手術を受けられた方は検査を受けられない場合がありますので注意が必要です。
脳卒中の検査には、この他、脳の血管の状態を詳しく調べる血管造影の検査や、脳の血液の流れの状態をみる脳血流シンチグラフィー、首の血管の動脈硬化を調べる頚動脈エコーの検査、脳の機能をみる脳波検査などがあります。
次回は脳卒中の治療とリハビリテーション、予防についてお話する予定です。