
第101回 『ウイルス性肝炎と医療費助成』
日本人の死亡原因の第1位はがんですが、そのうち、肝がんによる死亡者数は、1970年代に比べると、約3倍に増え、年間3万人を超えています。
肝がんの大きな原因として、B型、C型肝炎ウイルスがあげられています。日本人の肝炎ウイルス感染者は、気づいていない人も含めると、B型:130~150万人、C型:150~200万人程度と推定されています。ウイルス性肝炎の多くは感染の10~30年後に肝硬変、肝がんに移行しやすく、60歳前後から肝がんの発症が多くなるといわれています。最近では、インターフェロン(IFN)や核酸アナログ製剤などの治療で、肝硬変への進行や肝がんの発症を抑制することも出来るようになってきました。しかし、治療費が高額だったため、患者様の負担になっていました。
平成20年から、厚生労働省の「新しい肝炎総合対策」の一環として、肝炎IFN治療費助成制度が始まり、平成22年4月からはB型肝炎治療もその対象となり、C型・B型肝炎の早期の治療がやりやすくなってきました。現在感染している人の主な感染経路は、平成元年以前の輸血や注射によるものがほとんどですが、自覚症状もなく感染に気づかずに生活している人も多いと考えられます。
以下の項目に当てはまる人は、感染している可能性があります。一度は肝炎ウイルスの検査をうけ、必要なら専門医にご相談ください。
① 過去に健康診断で肝機能異常を指摘されたことがある
② 1992年(平成4年)以前に輸血されたことがある
③ 大きな手術を受けたことがある
④ 出産時に大量出血があった
⑤ 使いまわしの針で注射されたことがある
⑥ 血液製剤を投与されたことがある
⑦ 長期間血液透析をうけている
⑧ ボディピアスをしている
(シェリング・プラウ資料)
副院長(消化器科部長) 金藤 英二
