
第81回 『はしかにならない! はしかにさせない!』
麻疹(はしか)の予防接種が今年4月から変わりました。
2年前から風疹と混合ワクチンを使用して1~2歳未満と小学校就学1年前の2回接種となりましたが、今年4月からは、5年間に限定して中学1年生と高校3年生の相当年齢者にも接種することになりました。
大田市では、中学1年生は8月に集団接種を中心に実施し、高校3年生の相当年齢者は個別接種となります。
現代の麻疹は、思春期から若年成人の病気です。
この世代に麻疹が多発する理由は、「定期接種時に使用されていたMMRワクチンの副反応の影響で接種率が低迷したこと」 「麻疹発生数の減少によりブースタ効果が期待出来なくなったことで抗体価が低下したため」と考えられています。
また、国内に “麻疹がなくなった” アメリカからは、日本の留学生や旅行者がアメリカ国内で麻疹を発症する事例があとを絶たないため、 「日本は麻疹輸出国」 と非難されています。
この現状を受けて、国では2012年麻疹排除を目標に昨年8月麻疹排除計画を策定しました。その施策の一つとして予防接種対象者が上記のように拡大されたのです。
麻疹は自然感染すると肺炎や脳炎などの合併症を発症することがあり、後遺症を残したり、中には死亡することもある重篤な疾患です。
その感染力はインフルエンザの5~6倍強力です。現在も麻疹そのものの特効薬はありません。
ぜひ予防接種を受けて自分が 「はしかにならない!」、そして周囲の人を 「はしかにさせない!」 ようにしてください。
大田市立病院 内科系診療部小児科部長 大家隆晴
