
第16回 肝臓病について
総合内科(内科系診療部副部長) 赤木 収二
肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれ、病気がすすまないと症状があらわれず、肝臓病の人でも外見上健康の人が大半です。
したがって、会社の検診や住民検診での結果、自分では大丈夫と思っていた人で、肝臓病やその疑いと指摘される人が少なくありませんが、その人の中に肝臓癌が出来る可能性のある人が含まれています。 最近、日本では肝臓癌で亡くなる方が増えていますが、その多くは末期になるまで自覚症状を認めません。
検診等で肝臓が悪いと指摘された人は必ず、専門医による精密検査を受け、ご自分の肝臓の状態を把握しましょう。
肝臓病の原因には、A型、B型、C型などの肝炎ウイルス、肥満、アルコール等の他、特殊な原因がありますが、血液検査でほとんどの原因がわかります。原因により治療法が異なり、安静にすべき場合、もっと運動をすべき場合など適切な治療法をとらねばなりません。 肝炎ウイルスによる肝臓病では肝臓癌が発生する可能性が高くなり、現在ではC型肝炎によるものが多数を占めています。このような場合は、インターフェロンなどの薬を使って、ウイルスを排除する治療法が必要で、インターフェロン治療により肝臓癌の発生率を低下させることができることが明らかになっています。
このように、肝臓病を治すためには、自分の肝臓の原因を明らかにし、現在の病状に対して適切な医療が提供できる医療機関を受診することが肝要です。
