第20回 膝の痛みと温泉
リハビリテーション科医長 飛田 正敏
膝が痛くてお困りの方は腰の痛い方の次に多いと思います。膝痛の原因も色々ありますが、最も多いのは変形性膝関節症といわれるものです。
両脚をそろえて伸ばしてみてください。両膝の間に隙間ができていませんか?そんなあなたはO脚です。逆に膝はくっつくけれども、踝(くるぶし)が離れる人はX脚。O脚で、何もしていないのに膝の内側が痛い、立ち座りや歩き始めが痛いけれど少し歩くと痛みが減る人、それは多分、変形性膝関節症です。
この病気、程度は様々で、軽症の人は湿布でもOK、でも変形が進むと人工関節を入れる手術をしないと痛みがとれない人もいます。
膝痛で通院されている方から「温泉や温水プールに行ったら効果がありますか?」という質問をよく受けます。
温泉の効果には、泉質による効果、温熱効果、お湯の流れによる物理的効果などが挙げられます。このうち、泉質による効果以外は温水プールにも同様の効果が期待されます。温水プールの効果には血流がよくなること、水の抵抗によって歩行などの運動時により筋力が鍛えられることが挙げられます。膝関節周囲(特に膝を伸ばす大腿四頭筋)の筋力をつけることは”筋肉サポーター”という言葉もあるほどで、膝痛の軽減、予防に効果があります。
ところで、温泉自体の泉質により膝痛に対する効果は異なるのでしょうか?答えは諸説あるようですが、単純泉、食塩泉がおすすめのようです。でも、温泉に入って温まるのは、膝だけでないことにご注意!全身が温まるとそれだけで相当の体力を必要とします。また血圧も大きく変動することも考えられます。かかりつけの先生に相談してまず短時間の入浴からどうぞ。
それでも膝の痛みのとれない方は専門医の受診をおすすめします。