第96回 『冬期の痛み対策(豆情報)』
今年もあとわずかとなり、寒さもいよいよ深まってきました。神経痛や古傷のある人には辛い時節の到来です。
痛みを持つ人なら、冷え込んだり、天気が崩れる前には持病の痛みが強くなるという経験をしている人も多いと思います。
寒さは血行を悪くし腰部脊柱管狭窄症のように神経の微小血流障害で引き起こされる痛みは増強します。また気圧が下がると炎症が起こっている場所では、腫れが強くなり痛みが増強することになります。関節痛や偏頭痛がその例です。
最近では、動物実験で気圧や気温の低下が、神経を疼痛過敏(より痛みに敏感になる状態)にすることが生理学的に確かめられました。暖かいときなら痛くない程度の刺激が痛く感じたり、痛いものはより痛く感じられるわけです。厄介な話です。
生理的な体の反応は如何ともしがたいものですが、対策できるもので対策してみましょう。
まずは、言うまでもなく体を温めることです。痛いところだけでなく、全身の保温に努め、血液温度を下げないようにしましょう。
次に、痛み止めを内服している場合、頓服は痛くなり始めに内服しましょう。ひどくなってからでは効果がないか少なくなります。過剰にならぬよう上手に使ってください。
そして3つ目は、「エンドルフィン」に代表される脳内麻薬です。脳内に分泌される麻薬様物質は、気分を高揚させ、痛みも軽減してくれます。鎮痛作用はモルヒネより200倍強力です。免疫力も高めてくれることが分かっていますのでうまく使いましょう。
このホルモンは、楽しい事をしている(考えている)ときにたくさん分泌されます。趣味に興じているときやおいしいものを食べても分泌されます。
楽しく健康管理ができそうですが、くれぐれも適度な活用に心がけましょう。
副院長 西尾 祐二