第72回 水虫についての話
今回はわたしたちを悩ませているわずらわしい水虫についてお話します。
最近の調査では日本人の5人に1人が水虫にかかっているとされています。水虫はカビの一種である白癬菌 (はくせんきん) が足の皮膚に感染して発症します。水虫になると、足の指がジュクジュクしたり (趾間型 = しかんがた)、 土踏まずに小さな水ぶくれができたり (小水疱型 = しょうすいほうがた)、 かかとの皮膚が厚くなってガサガサになったりします(角化型 = かっかがた)。
ただし、角化型は痒(かゆ)みがほとんどないので、水虫と気づかれないこともしばしばです。また、注意していただきたいのは水虫とよく似た症状を呈する、水虫とは異なるいくつかの皮膚疾患があることです。その代表が汗疱 (かんほう) です。汗疱でも水虫と同様に小さな水ぶくれができ、やがて皮膚がふやけてボロボロとむけていきます。このような疾患にいくら水虫の薬をつけても無駄です。
自分で水虫の治療をしていてもなかなか治らないときは、一度皮膚科で調べてもらってください。顕微鏡で調べれば簡単に水虫かどうかがわかります。水虫をそのままにしておくと、菌は皮膚から爪にはいっていきます。これが爪水虫 (そうすいちゅう) です。透明だった爪が白く濁り、また厚くなってボロボロと崩れやすくなります。痒みはまったくありません。
こうなってしまうと塗り薬での治療が困難になります。完治をめざすなら飲み薬ということになります。
しかし痛くもか痒くもないのに飲み薬まで使いたくない、あるいはほかにたくさん薬を飲んでいるので飲み薬は・・・ という患者さんには、白く、厚くなった爪を削りながら塗り薬を根気よく使う方法をお勧めします。完治とまではいかなくても症状はかなり改善します。
いやな水虫とは縁をきり、きれいな素足で快適に過ごしましょう。
大田市立病院 皮膚科医長 本田 栄