
第41回 サメの軟骨?
リハビリテーション科医長 熊橋 伸之
よく外来の患者さんで、膝の痛い人をみていると、「サメの軟骨ってよく市販で売られていますが効果がありますか?」と尋ねられることがあります。
膝が痛い高齢の人の多くは、『変形性膝関節症』といってクッションの役割をしている軟骨が老化とともにすりへり、骨と骨とがぶつかり、痛みが生じている場合がほとんどです。 治療は一般的に痛みを和らげる薬の服用や注射が行なわれています。また、症状がひどくなると、変形を人工膝関節などの手術で治すこともあります。
ただ、今のところ特効薬はないようです。
では、「なぜ、牛やほかのものではなく、サメの軟骨なの?」と不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。 一般的に哺乳類は軟骨の占める割合が全体重の1%ですが、サメには骨が1本もなく軟骨しかないため、6~8%も含まれており、効率的に得られるからです。
さらに、サメの軟骨には、軟骨の成分である『コラーゲン』を分解する酵素を妨げる物質が含まれているようです。 以上の点から、今、『変形性膝関節症』の治療薬としてサメの軟骨が注目されています。
サメの軟骨を飲んでいる人にお話を聞いてみると、「効果があった」という人もおられれば、「あまり変わらない」といわれる人もおられ、効果は様々のようです。 実際のところ、サメの軟骨が『変形性膝関節症』に効くかどうかは臨床試験段階であり、わからないのが現状のようです。
ただ、膝の痛い人には、膝に負担がかからないように正座を控える、体重が増えないようにする、膝の周りの筋肉を鍛える、ということは間違いなく膝の痛みの軽減、予防になります。しっかり取り組んでみてください。
もし、膝に痛みがあるようでしたら、いつでも整形外科外来で相談してみてください。
