第21回 内視鏡下外科手術
外科医長 坂下 吉弘
「外科の手術は、おなかや胸を大きく切られるので、手術後に動けないほど痛いものだ」このようにお考えの方は多いのではないでしょうか。
しかし、最近の医学の進歩は目覚しく、この十年間に大きく様変わりしました。その手術の一つに、内視鏡下外科手術があります。 内視鏡下外科手術とは、0.5~1.5センチメートルの小さな穴を数か所開け、カメラをおなかや胸の中に挿入し、病変部位をテレビ画面で見ながら手術操作を行うものを言います。
この手術の利点は、①手術後の痛みが少ない②早期退院、早期社会復帰が可能である③キズが小さく美容上優れている、などが挙げられます。 例えば、胆嚢摘出術の場合、経過が良ければ術後3日目でも退院が可能となります。
現在、市立病院外科でも、胆嚢摘出術をはじめとし、胃・十二指腸潰瘍穿孔手術、小腸・大腸切除術(良性、悪性疾患)、副腎摘出術、自然気胸手術などに、内視鏡下手術を行っています。
今後、技術および器械の進歩により、さらに適応疾患は増えていくと考えております。全ての外科手術が、内視鏡下外科手術に置き換えられるわけではありませんが、内視鏡下外科手術が可能な症例であれば積極的に行い、手術を受ける方にとって、痛みや侵襲の少ない手術を目指して行こうと考えております。 もちろん、今までどおりの手術も行っておりますが、この場合でも麻酔科との連携により、手術後の除痛には十分気を遣っており、術後の早期離床、歩行を可能にし、術後の合併症を減らす努力をしております。
このように、市民の皆様に安心して、より良い高度な手術を受けていただけるよう努力していきたいと考えております。