第92回 『ハチ刺傷について』
春先から秋にかけて、みなさんもハチ刺されのニュースを耳にされることが多いのではないでしょうか。時には死に至ることもあるので、注意が必要です。
ハチ刺されを防ぐ方法
服装では黒色のものを避け、明るい色の服を着るようにしましょう。ヘアスプレーや香水などの化粧品は、匂いがハチを刺激するので、使わないようにしましょう。運悪くハチに出会った時は、目を閉じ顔を下向き加減にして静止して下さい。ハチが巣に戻った後静かに後退しましょう。
しかし一旦ハチの攻撃を受けると、攻撃に参加するハチが次第に増えるので、直ちに現場から離れましょう。
ハチに刺されたらどうするか
冷やすのは有効です。刺された所が腫れて痛いだけであれば、命に関わることはありません。それでも痛くてどうしようもないときは受診して下さい。
怖いのはハチの毒に対するアレルギー反応です。今でも年間25人前後の人がハチ毒アレルギー(アナフィラキシーショック)で亡くなってます。
ハチ毒アレルギーの症状は、刺されてから通常1時間以内に出現します。全身のじんましん、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、めまい、胸が苦しい、息が苦しい、目が見えない、耳が聞こえない、意識が遠のくなどの症状です。大変な兆候です。一刻も早く病院に行きましょう。
また、ハチに刺された時にひどく腫れた人は、その次に刺されるとアレルギーを起こしやすいと言われています。ご注意下さい。
現在、ハチ毒アレルギーのある人には、自己注射薬(エピペン)が処方できるようになりました。特に、林業などで医療機関を受診するまでに時間のかかる人は、エピペンを携帯することをお勧めします。
大田市立病院 皮膚科部長 本田 栄