第76回 救急蘇生とAED あなたも救世主になれる
最近、AEDという表示をよく目にするようになりました。空港や駅、各種施設やホテルのロビーなどに置いてあり、大田市内でも学校や行政機関等で見かけられた人もおられると思います。
ご存知のみなさんも多いと存じますが、AEDとは、除細動器という医療機器のことです。救急蘇生の際、心臓マッサージや人工呼吸と組み合わせて使うと、救命率が高くなるため、より多くの場所に設置することで、より高い救命率を期待できるわけです。
一般的に、救急隊が通報を受けてから現場に到着するまで、平均で約6分かかっています。心肺停止から時間が5分経過すると、救命できる可能性は、25%まで低下。10分経過すると、まったくなくなります。しかし、急変があってから3分以内にAEDを使用し、除細動を行なった場合は、約70%が救命できたとの報告もあります。すなわち、救急蘇生において最も重要の治療は、現場での治療ということなのです。
AEDは、一般の人にも使用が許可された医療機器です。近年、手近に有効な医療機器が誰でも使用できるような環境が整いつつあります。自動車学校や消防署で開催される講習などで使用法を学習された人は、救急時には、ぜひ、使用してください。
救急蘇生の場面というのは、めったにあるものではありませんが、突然、自分の目の前で、しかも自分の大切な人におこるかもしれません。講習を、受けてないみなさんは、ぜひ、救急蘇生法の講習を受け、AEDの使用法も習得されることをお勧めします。
なぜなら、あなたの大切な人の命を救えるのは、救急隊だけではなく、あなた自身もだかれです。ちなみに救急蘇生法は、世界で統一されています(5年ごとに少しずつ改定)。
現在は、2005年度版です。以前、講習を受けられた人も改定後には再履修されることをお勧めします。
大田市立病院 副院長 西尾 祐二