第40回 『心の虫歯』は、早めに『心の歯医者さん』へ
精神科医長 上垣 淳
うつ病のことを、よく『心の風邪』といいますが、今回は、あえて『心の虫歯』と言わせてください。
平成10年以降、日本では自殺者が1年間で3万人を超え、交通事故死の3倍以上となっているという事実があります。そのうちの4割が、40歳代~50歳代、いわるゆ働き盛りという深刻な調査結果があります。これは、1年間に勤労者がおおよそ1万人も自殺していることになります。
1.何日も眠れない
2.肩こり・背中の痛み(特に上の方)・頭の重い感じが強くなった
3.人に会うのが億くうになった④好きだったテレビに興味がなくなった
4.頭(気持ち)が上の空になって失敗が増えた
等の症状が続く場合、すなわち、『心の虫歯』が痛み始めたとき、早めに『心の歯医者さん』にかかることで、うつ病は重症にならずにすみます。 でも、正直、なかなか受診するのに勇気がいるのが現状ではないでしょうか?
大切なポイントは、ここにあります。
マスコミの過熱報道を除けば、実は精神科の疾患は薬などの進歩で、現在とても軽症化していて、「統合失調症」といった本質に即した病名の変更や、「痴呆」等も差別感のない新しい病名にかわる動きが強くなっています。そのため「精神科」という科名さえ、各地の総合病院で、「メンタルヘルス科」「メンタルクリニック(麻酔科で使われるペインクリニックのように)」「心療科」等にかわってきています。
他の先進諸国と同様に、みんなのイメージの中で「精神科に受診すること」と「歯医者さんにかかること」が同じようになれば、そして気楽に受診してもらえれば早期発見、早期治療が可能になって、「こんなんだったら、もっと早く来ればよかった」といううれしいつぶやきが増えると思います。
最後に、参考までに、うつ病の症状を追加しておきます。
1.食欲がなくなり、体重が減少する
2.落ち着きがなくなり、何事にも待てなくなる
3.何でも自分の責任と思い込みすぎる