第64回 「マムシ咬傷」について
水田や草むらの中で、蛇を見かけられたことがある人もおられるかと思います。今回は、蛇の中のひとつ、 「マムシ」 という毒蛇についてのお話をします。咬まれるとなぜ怖いのか、どのようなことが起こるのか、またどのように対処すべきか、について簡単にお話します。
マムシに咬まれると、咬まれて部分が腫れ、重症の場合にはショック、横紋筋融解症、急性腎不全などが生じ、場合によっては死に至ります。
統計によると、全国的にはマムシに咬まれて亡くなられる人は、受傷者の0.5%~1.5%といわれています(100人咬まれると約1人の人が亡くなられる可能性があるということです。)
では、どういうことに注意をしておくとよいのでしょうか?
それは、咬まれないこと! また、マムシを発見した場合には、「近づかない」 「離れる」 ことです。
マムシがいる可能性が高い場所(草むら、山林、水田、湿地等)に行く場合には、「サンダル、草履などの軽装ではなく、ひざくらいまで何らかの服装で防御しておく(ゴム靴、長靴など)」、 「草むらに手を入れる場合には、棒・その他を用いて、いないことを確認してからする」などの点に気をつけてください。
もし、不幸にして咬まれてしまった場合には、牙痕(咬まれた場所)を確認し、その部位より10cm~20cmほど心臓に近い場所を縛り、すぐ救急外来を受診してください(ただし、縛った指、手足などに血が通う程度に縛ってください)。
症状は各々各々異なるとは思いますが、咬まれた当初、腫れや痛みがなくても、1日~2日してから横紋筋融解症が出現し、腫れて来院する人もいます。早期に治療を開始すればするほど、また毒が少ないほど症状が軽くてすみます。
処置が遅れると命取りになる場合もあります。 「蛇に咬まれただけ」 と軽視せず、マムシに咬まれた場合には、何はともあれ、すぐにお近くの救急病院での受診をお勧めします。
大田市立病院 救急センター・外科 小倉 良夫