第57回 医療制度改革の時代を迎えて
桜の季節を迎え平成18年度が始まろうとしておりますが、皆さまにはご健勝のこととお慶び申し上げます。
本年度は医療制度に関して、診療報酬の改定が行われます。診療報酬とは、皆さまが診療所や病院を受診された時に支払われる医療費の計算の元となる一つ一つの医療行為や薬の値段のことで、これは全国一律で決められ、2年ごとに見直されています。
今回の改定は、①患者からみて分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する視点、②質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・連携を推進する視点などの4つの点から検討され、全体でマイナス3.16%の減額となりました。 内容の詳細は省きますが、診療所・病院での領収明細の記載や在宅医療の重視、疾患別リハビリテーションの設定や期間の限定、小児および小児救急医療の引き上げ、医療の情報技術(IT)の推進などがあげられています。また、今後平成19年度には医療法等の改正が予定されており、平成20年度にはこれに基づいた医療計画の見直しがなされる予定です。
また、日本人の死亡原因や寝たきりの原因であるがん対策や脳卒中対策、小児救急対策などは数値目標をあげた各県レベルでの取組みが期待されています。
大田市立病院では、地域の医師会の先生方との連携により、日常の診療は近くのかかりつけ医で管理してもらい、検査や治療・手術の必要な方はかかりつけの先生からご紹介をいただいて入院治療していただけるよう協力と連携を図っています。この目的で昨年8月より、開放病床(5床)を設置いたしました。この病床は、日頃診ていただいているかかりつき医の先生方と病院の担当医とが共同で診療・指導し、在宅復帰を目指す制度です。また、平成17年度事業として、仁摩診療所との間に遠隔画像診断システムを導入し、仁摩診療所で撮影されたCT写真を大田市立病院の放射線科医が判定して直ちに送り返すシステムも導入しております。仁摩地区の皆さんがCT検査を受ける際に便利になることが期待できます。
今後の予定として、平成18年度は脳卒中やがんなどの疾患別のチーム医療を確立しながら、電子カルテを導入しそれによる情報の共有化・迅速化を図り、より良い医療が提供できるよう努力を重ねて参りたいと考えておりますので、ご理解、ご協力の程よろしくお願いいたします。
大田市立病院 院長 岡 田 和 悟