第11回 前立腺について
泌尿器科医長 角 昌晃
最近では男性の皆さんで前立腺という言葉をご存知ない方は少ないのではないかと思います。 新聞や雑誌あるいは健康診断などで前立腺肥大症、前立腺癌などという病名は比較的良く目にしますし、芸能人の方、少し前では三波春夫さんが長い前立腺癌との闘病生活の末他界された様子が報道されており、記憶に新しいことと思います。
では、前立腺はどこにあり、どんな役目を果たす臓器なのかご存知でしょうか。
前立腺は男性特有の臓器で、膀胱のすぐ下にあって、尿道をとりまくように存在します。腺というぐらいですから、だ液腺がだ液を分泌するように、前立腺は精液の一部を分泌するという役目をはたしています。 歳をとるにしたがって、小さく萎縮する人もあれば、大きく肥大する人もあり様々ですが、尿道を圧迫するようになると色々と症状が出始めます。
ところで、前立腺には内腺と外腺があり、読んで字のごとく内側にあって尿道をとりまくのが内腺で、さらにその外側をとりまくのが外腺です。
内腺は前立腺肥大となりやすい場所であり、尿道をすぐとりまいていることからわかるように症状が出やすい部位といえます。一方、外腺は癌が発生しやすい場所ですが、前立腺の外側をとりまいているため、尿がでにくいなどの前立腺肥大症と同じ症状がでるころには、かなり癌が進行していることが多くなります。
診断は昔は肛門から指を入れて前立腺を触る直腸診という方法しかありませんでしたが、最近では血液検査だけで癌を早く発見できるようになり、超音波検査や他の画像診断と組み合わせることで、多くの患者さんが手遅れにならないうちに手術を受けることができるようになりました。
50歳以上の男性の方は症状のあるなしにかかわらず、血液検査をお受けになることをお勧めします。遠慮なさらずに泌尿器科の窓口まで声をかけてください。