
第19回 こどもの命をまもる
小児科(診療支援部長) 泉 信夫
ニジェール320、カンボジア174、米国10、日本6、何の数字かわかりますか。
1995年度の出生1000人に対する5歳未満の乳児・児童の死亡数です。ちなみに日本も大正9年では乳児の死亡でも166でした。 しかし現在の日本の世界に誇れる前記の成績も単に医療や保健の充実のみに負っているのではありません。 教育、交通や情報伝達手段等々生活環境のあらゆる事ごとの総決算です。
とは言え、前者の力は大きいものです。
三種混合ワクチンについて記します。
成分の一つのジフテリアは50年前、日本で年間10万人の患者があり、1万人くらいが亡くなっていました。現在日本では患者はほとんどありません。 しかし、接種率の低下から大きな流行を招いた国があります。将来そのような国に出かけることもありえます。
破傷風は、50年前の日本では年間数千人の患者がありましたが予防接種などのおかげで現在は100人くらいに減っています。 この細菌は土の中にすみ、傷口より感染します。発病すると現代の医療をもってしても半数近くは助かりません。 現在行われている他の予防接種も皆、大変大きな意味をもっています。
話は変わって、日本の1歳から14歳までのこどもの死亡原因の第1位は、心臓疾患でも悪性腫瘍でもありません。
1位は事故で、年間1200人ものこどもが交通事故、転落、溺水などで亡くなっています。
入院治療で済んだ事故の数はその10倍位にはなるでしょう。 日本は他の先進諸国と比べて5歳未満の事故の多いこと及び全体に溺水の割合の多いことが指摘されています。
日頃から万一に備えた気配りが大切です。まずお風呂場をチェックしてみてください。
