第29回 「がん」はどうして出来る?
地域医療支援部長 福田 亮
がんがどうして出来るのかを理解して、自分で出来るがんの予防法をシリーズで考えてみましょう。
赤、青、黄、白色のガラス玉で出来たネックレスを考えてみてください。4つのガラス玉で同じものを作るとします。
同じ色の順番につなげていかないといけませんが、歳をとると入れ間違いもおこるでしょう。短いものでも、一度にたくさん作ると若い人でも間違いやすいですよね。 もちろん、気がつけばそのたびに入れ直すことが出来ますが、時には、ネックレスの一部が焼けたり薬などで変色したりすることもあります。 こうなると、元の色がわからなくなって適当な色の玉を入れざるを得ません。当たる確率は、4分の1。
人の遺伝子も突き詰めれば、たった4種類の物質が、ある特定の順番に並んでいるものです。 細胞が増える時に同じ配列のものが正確に作られないといけません。
例にあげたネックレスと同じように、4つの物質を並べていくのですが、その精密度たるや我々の想像をはるかに超えています。 しかし、そこはやはり人間の一部、入れ間違いもおこります。
人体には、ありがたいことに、これを見直して間違ったら入れ直してくれるシステムが存在しますが、これもネックレスの場合と同じです。 頻繁に入れ直しが必要になったり、元の色がわからなくなったりすれば間違います。 いったん、間違いが残ると、これが次から細胞に伝わっていきます。これが、遺伝子の突然変異です。
がんの場合、突然変異は細胞の生死に重要な役割を持つタンパク質におこります。
同じ栄養でも異常に増えてしまう、身体に有害で本来、自然に死ぬはずの細胞が生き残る、こういうことが重なってがん細胞というものが、出来てきます。 実例をあげましょう。喫煙は口、食道、喉頭、肺のがんをおこします。 タバコの成分はガラス球の色を変えてしまい、繰り返す炎症はしょっちゅうネックレスを作らせます。
当然、ガラス玉の入れ間違いが増える結果、がんも出来やすくなります。