第100回 『熱中症』
そろそろ熱中症の季節がやってきます。熱中症は、暑熱による健康障害のことを言います。
立ちくらみなどの脱水症状や筋肉痛、こむら返りなどの症状だけで済むこともありますが、意識を失ったり、肝臓や腎臓などの臓器に悪影響が出ることもあります。
もちろん、7~8月の暑い時期に発生件数が多くなりますが、実は梅雨入り前後の時期から、少しずつ熱中症の患者さんが発生します。
温度が高いところで熱中症は生じやすいのですが、炎天下での屋外活動だけでなく、窓を閉め切ってエアコンを使っていない部屋や海水浴、散歩中、風呂、サウナ、車内にいても熱中症になる可能性はあります。
それでは、どんなときに熱中症に気をつけると良いでしょうか。
子供や若年者はスポーツをしているときに、中年者では労働中に、乳幼児や高齢者では日常生活の中で熱中症になりやすいようです。熱中症が生じやすい状況にいるときは、意識的に予防に努めましょう。
熱中症になりやすい状況では、水・お茶だけを飲むのでなく、電解質補給のできる水分摂取をしましょう。糖分の多いスポーツドリンクより、(少し高価ですが)経口補水液がお勧めです。手に入らないときは水と食塩(500mlに対して食塩1.5~2g程度)と果物ジュース(200ml程度)でも代用できます。
ただし、高齢者では周囲の人が水分・電解質補給を勧めたり、環境整備が必要なことがあります。また普段から塩分制限している人はかかりつけ医に相談してください。
他に、暑さに体を慣らし、1日1回、体温を正常化するのが予防に効果的です。暑さが厳しくない初夏のうちから屋外の暑い環境に体を慣らし、自宅では涼しい部屋で体を休めたり、冷たいシャワーを浴びたりして体温を下げると、普段からの熱中症予防になります。
予防していても、熱中症を疑う症状が出現したら、涼しいところに移動して、水分や電解質を補給し安静にします。これで症状が改善すれば病院を受診する必要はありません。
症状が良くならない場合は、早めに病院を受診してください。
総合内科医長 城 有美