
第66回 新しい人工関節手術(MIS)
今回、医学の進歩は目覚しいものがあります。整形外科の領域も例外ではありません。今回は当院でも取り組んでいる人工膝関節を紹介いたします。
現在、膝(ひざ)の痛みで悩んでいる人は多数おられることと思います。高齢者の膝痛の原因のほとんどは、軟骨がすり減ったことによる変形性膝関節症です。その治療法のひとつである人工関節は、みなさんも一度耳にしたことがあるでしょう。
人工関節とは、いたんでしまった関節の表面を人工物に取りかえ、痛みを軽減させる手術で、当院でも以前より多くの人が受けておられます。この手術は治療の最終手段であり、主には高齢者のみなさん(一般的には65歳~70歳以上の人)に行なわれます。ただ、膝や体に大きな負担がかかるため、一般的には長期の入院を要し、術後の痛みや膝に残る大きな傷跡が問題でした。
この問題に対し、最近MISという手術の方法が注目されてきました。MISとは最小侵襲手術のことで、 「小さな傷」 で手術を行い、患者さんの 「体の負担を少なく」 して 「早期社会復帰」 をめざす手術なのです。アメリカで始まった手術ですが、ここ数年日本でも徐々に広まり、まだ数は少ないですが積極的に取り組む病院も増えてきました。
当院でも昨年より導入し、術後リハビリの早期開始、早期退院、そして早期社会復帰をめざしています。
このMIS手術、実際には患者さん全身、および膝の状態により、可能な人とそうでない人がありますので、事前の相談が必要ですが、可能な限り患者さんの希望に沿った治療法を心がけています。
長い間膝の痛みで苦しんでいる人、本気で膝の治療をお考えの人、ぜひ一度当院にご来院ください。もちろん、人工関節のほかにも、あなたにあった治療法を提案させていただきます。
大田市立病院 リハビリテーション科医長 大饗 和憲
