第27回 子宮体部がんについて
産婦人科(外科系診療部副部長) 槇原 研
子宮がんは、子宮頸(けい)部がんと子宮体部がんに分けられ、婦人科のがんで最も多いものです。
わが国では、子宮体部がんの発生する割合は少なく、子宮頸部がんの約5%ほどでした。 近年、生活の欧米化とともに発生率が増加し、報告によっては30%を超えるようになりました。
同じ子宮のがんであっても、子宮体部がんと子宮頸部がんは、全く違う病気ですから、子宮体部がんと子宮頸部がんの違いを正しく理解することが大切です。 子宮体部がんは、子宮内膜がんとも呼ばれるように、赤ちゃんを育てる子宮の袋の内側にある子宮内膜から発生します。
一方、子宮の出口が膣内に突出した場所からできるのが子宮頸部がんです。 なお、一般的に子宮がんの検査というと、子宮頸部がんの検査だけをさすこともあるので、注意が必要です。 子宮体部がんは、9割の人に不正性器出血の初期症状があります。閉経後の出血やおりもの、月経(生理)と違う出血がある時は、早めに婦人科あるいは、検診を受診し、子宮体部がんの検査を受ける必要があります。
子宮体部がんの検査は、まず細胞を採取するところから始まります。
子宮頸部がん検診と違って子宮の中に細い器具を挿入しますので、多少の痛みを伴います。細胞の検査結果によっては、子宮内膜掻爬(そうは)が必要となります。 子宮体部がんは肥満、糖尿病、高血圧のある女性に多いとの報告があります。 その他、女性の晩婚化、少子化も子宮体部がんの増加の原因として、あげられています。
また、乳がんのホルモン療法中に発見されることがありますので、主治医の先生と相談の上、検診を受けてください。 子宮体部がんは卵巣がんとともに最近増えています。
きちんと検診を受けられれば、命を脅かすことなく治療できる病気ですので、恥ずかしいなどといわずに検診を受けてください。