第90回 『次の10年へ向けて、一歩一歩確実な歩を』
春爛漫の好季節、市民の皆様には入学、進学、就職など環境が変わった方も多いことと思いますが、お元気でお過ごしでしょうか?
さて大田市立病院は本年2月1日をもって開設以来10年を迎えました。この間、市立病院としての開設や運営に、ご支援・ご協力をいただいた皆様方にあらためて御礼申し上げます。
昨年より、世界的な株安、不景気、雇用不安の嵐が吹き荒れ、経済産業界では、この年度末でも多くの非正規労働者が職を失う状況ですが、医療についても全国的な医師・看護師不足により、地域医療の継続が懸念される状態です。
大田市を中心とする地域医療の要(かなめ)である当院においても、ここ数年医師・看護師の減少が目立ち、病棟休止や診療科の縮小を余儀なくされております。今後の見込みとして、国は医師不足への対策として医師増員の方針を打ち出しており、今春の医学部入学者は700人近く増加し、本年度予算においても「医師確保・救急医療対策」については、いずれも1・7から2倍を超える増額となっており、事態の改善が見込まれます。また、医師不足のきっかけとなったと言われる医師臨床研修制度に関しては5年目の見直しがなされ、基礎研修期間を短縮する方向で検討されており、さらに島根大学医学部における地域枠の学生も増加しつつあることから、数年後には状況の好転が期待されます。
当院における看護職員確保に関しては、昨年度創設した看護学生に対する修学資金貸付制度の利用促進や、年末に開所した院内保育所「たんぽぽ保育所」の利用者増加を図ることなどで就業人数を確保し、来春を目処に看護体制の再構築に向けて努力していきたいと考えております。
地域の皆様におかれましては、医療を支えるのは地域「の人材であることを再確認していただき、お知り合いの医師・看護師がおられましたら、ぜひひとこと市立病院の職員募集の話をしていただければ幸いと存じます。
このたび大田市立病院改革プランを策定し、経営改善を含めた市立病院の今後進むべき方向についてまとめました。本年度は、地域医療を支えていく使命をもつ当院の諸問題の解決に向けて次の10年のために一歩一歩確実な歩を進めていくための大事な年になります。
市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
大田市立病院 院長 岡田 和悟