第45回 血圧に気をつけましょう
リハビリテーションセンター医長 福田 理子
脳卒中診療に携わりいつも思うことがあります。それは「脳卒中は予防が大切である」ということです。脳卒中とは脳出血、脳梗塞、くも膜下出血の総称です。これらの病気はみな脳の血管に異常が生じて突然発病するのが特徴です。そして、その最大の危険因子は高血圧であると言われています。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインによると、130mmHg以下を正常血圧とし、120mmHg以下がより望ましいとあります。一方、140mmHg以上は高血圧と考えます。これは高齢者でも同様です。
では、血圧に気をつけるとはどういう事でしょうか?それは「まず、ご自身の血圧を知る」ということです。幸い、家庭用の血圧計も使いやすくなっているようですし、色々な施設に血圧計が置いてあります。機会を見つけては血圧を測り、日々の血圧を知りましょう。そして収縮期血圧が140mmHg以上であればかかりつけの医療機関で相談してみましょう。人それぞれ、病状などによって血圧を下げる目標の値も、薬を使うタイミングも変わってきます。
高血圧の方に重要なことは薬物による治療と生活習慣の是正です。特に後者はご本人と周囲の方がみんなで頑張ることが大切で、その効果は大きいものです。以下に高血圧治療ガイドラインがうたっている修正項目をご紹介します。
① 食塩制限 1日 7g
② 適正体重の維持
標準体重 = 22×身長m×身長m
(例) 身長160cmの人の場合 22×1.6×1.6=56kg
③ アルコール制限
男性 日本酒1合以下
女性 男性の約半量
④ コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
⑤ 運動
⑥ 禁煙
詳細については、高血圧治療ガイドラインのホームページも存在しますので興味のある方は検索してみてください。生活習慣の是正で予防可能な病気は他にもたくさんあります。
血圧は重篤な病気と密接に関係し、また生活習慣とも密接に関係しています。皆さんも血圧に気をつけて生活習慣を見直してみてください。これらを是正する事により10年20年後のご自身の在りようが、かなり違ってくるはずです。