
第93回 『腹腔鏡手術とはどんな手術?』
腹腔とは、おなかの中の胃や腸などがある空間のことで、腹腔鏡はその空間を見るカメラのことです。
腹腔鏡手術とは、おなかの数ヶ所を1cmくらい開いてカメラや手術の道具を挿入し、テレビモニターを見ながら行う手術のことです。腹腔は、普段はへこんでいるので、気体(炭酸ガス)を入れてふくらませてできた空間で手術をします。
腹腔鏡手術は、約20年前の胆嚢を取る手術に始まり、今では一般的に行われています。手術の道具も徐々に進歩しています。腹腔鏡手術で胃や大腸を取るのは約10年前から行われるようになり、ここ数年でかなり普及してきました。
腹腔鏡手術のいいところは?
・体への負担が少ない
傷が小さく、見た目がきれいで、痛みも軽くてすみます。おなかの中への負担が少ないので、食事を早く始められ、腸がくっついて詰まってしまう腸閉塞症になりにくい利点もあります。
・細かいところが見える
カメラを使うので、細かいところがよく見え、より確実な手術ができます。
本当に安全なの?いいことづくしなの?
・難易度が高い
おなかを大きく開ける手術に比べると、やや難易度が高くなります。そのため、手術時間が少し伸びることや、大出血をしたときはおなかを開けないと血が止められないことがあります。
・おなかをふくらませる
おなかをふくらませることにより、心臓や肺に負担がかかるので心臓や肺に負担がかかるので、心臓や肺の機能が落ちてる人ではできないことがあります。
腹腔鏡手術はおなかを大きく開ける手術と比べて、手術時間が長くなりますが、出血量が少なく、術後の回復も早く、癌の治療成績としても遜色ないという結果が出ています。大田市立病院外科では、腹腔鏡手術も、従来の開腹手術のいずれも高い知識・技術レベルを維持するよう努力しています。どうぞお気軽にご相談ください。
大田市立病院外科医長 小林 弘典
