第08回 頭痛とめまいについて
脳神経外科(地域医療支援部副部長) 福田 稔
頭痛とめまいは多くの方が経験する症状です。特に頭痛は、経験がない方はいないと思います。今回は頭痛とめまいについてのお話です。
頭痛は脳神経外科医にとって重要な訴えの一つです。頭痛の背後に重要な病気が潜んでいることがあるからです。 今までなかったのに突然、頭が痛くなったり、痛くなりはじめた時を覚えているような頭痛のときは注意が必要です。早めに医療機関を受診することをおすすめします。 風邪かもしれないが念のために受診したとおっしゃる方の中にはごく稀に、くも膜下出血の方がいます。
一方、日頃から、頭痛持ち、と言う方の場合は、筋緊張性頭痛や後頭下神経痛という生命には直接関係しないものも多いようです。 しかし、慢性の頭痛の中にも重要な病気と関連しているものがあります。高血圧や動脈硬化などと関連した頭痛は脳卒中の兆しとも言えます。 また、慢性硬膜下血腫という頭の中に血液がたまるような病気や脳腫瘍などでも、長い間頭痛に悩まされることがあります。 どんな頭痛でも、気になれば一度は医療機関を受診したほうが良いと思います。
次はめまいです。めまいは位置感覚と呼ばれる機能が障害されるために生じる症状です。 この位置感覚に大きく関係する感覚器が耳の奥にあります。また目や手足も重要な感覚器です。これらの感覚器は脳と連絡していますから、感覚器や脳またはその中継に異常が生じると、めまいを感じるわけです。 耳の奥の感覚器に異常が生じた場合は、主に耳鼻咽喉科的なめまいということになります。一方脳や脊髄などの異常で生じるめまいは、内科や脳神経外科で治療されることが多いと思います。 その中でも特に多いのは、椎骨脳底動脈循環不全症といわれるもので、脳に血液を供給する椎骨動脈という血管とその関連血管の不具合です。脳の血流が悪くなれば脳に障害を生じることがあるので注意が必要です。 めまいは血液の流れに関連するものばかりではありません。頚椎という首の骨の変形や脊髄の圧迫、さらに脳腫瘍などでめまいが生じることもあります。 めまいも気になれば、一度は医療機関で相談されることをおすすめします。