
第82回 『咳エチケットについて』
みなさんは、咳エチケットをご存知ですか?
咳エチケットは、インフルエンザなどの呼吸器感染症の感染予防対策です。
重症急性呼吸器症候群SARSが問題となった2004年11月に、アメリカCDC(疾病予防管理センター)は咳エチケットの宣伝を始めました。
2007年には、我が国の厚生労働省もインフルエンザ感染対策として 「ひろげるな インフルエンザ ひろげよう咳エチケット」 という標語をかかげポスターを作成しています。
ポスターを見るとよく分かりますが、咳エチケットの要点は
エチケット1
咳やくしゃみをするときは、ティッシュで口と鼻をおおう。
エチケット2
使用したティッシュはすぐにフタ付きのゴミ箱に捨てる。
エチケット3
咳などの症状がある場合は、人がいるところではマスクをする。
エチケット4
食事の前や、トイレ・外出後はもちろん、咳やくしゃみをした後も、よく手を洗う。
の4点です。
以下簡単に説明します。
せきやくしゃみをすると、しぶきが1~2mの範囲に飛び散りますが、この中にはインフルエンザウィルスなどの病原体が含まれています。
そのため、口と鼻をティッシュでおおってしぶきが飛び散らないようにします。しぶきで汚れたティッシュにはインフルエンザウィルスなどの病原体がたくさん潜んでいるのですぐに捨てなくてはなりません。
ティッシュがない場合は手でおおってもよいですが、手につばがつきますので、その手で周囲のものを触らずにすぐに手を洗う必要があります。
また、咳が出る人はマスクをして病原体をまき散らさないようにします。当然ながら熱があり咳が出る人は、家庭で安静にして外出は控えたほうがよいですが、病院などを受診する場合には必ずマスクをして病原体をまき散らさないようにします。
咳やくしゃみをした後には手が汚れますので、手洗いが必要です。手洗いは、咳エチケットにかかわらず感染予防対策の基本です。帰宅したときや食事の前には必ず手をしっかり洗うように習慣づけましょう(しっかりとは、石けんを用いて流水で洗うこうとです。)
新型インフルエンザは遅かれ早かれ必ず流行するであろうと言われています。そのためにも一人一人が、日頃より咳エチケットをきちっと行い、インフルエンザなどの呼吸器感染症の流行を防ぐことが大切です。
大田市立病院 内科系診療部統括部長 古 家 寛 司
