第23回 痛みの治療【神経ブロック】という治療法ついて
麻酔科(副院長) 西尾 祐二
痛みの治療は、鎮痛剤の内服治療を始め、針、灸、温熱療法など種々あることはよくご存知のことと思います。ここでは、ちょっと聞きなれない言葉かもしれませんが「神経ブロック治療」についてお話しします。
痛みはさまざまな原因で生じますが、心因性のものを除き、一般に打撲や手術後のように組織が傷害され生じる炎症性の痛みと、帯状疱疹(胴まき)のように神経が傷害され生じる神経性の痛みに分類されます。これらは、いずれも最後には神経を介して痛みの信号が脳に伝えられ「痛み」として自覚することになりますから、その導線である神経の伝導を遮断してしまえば痛みは感じないことになります。これが、神経ブロック(=神経遮断)という鎮痛法の原理です。神経ブロックで使用される薬(局所麻酔薬)は、注射された周辺で神経に作用し、痛みの低下ないし無痛をもたらします。
その後、約1時間で作用は消え、しびれは元に戻りますが、不思議なことに、多くの場合、作用がなくなった後も痛みが元に戻ることなく、長らく消失していたり、和らいだりすることがわかっています。顕著な場合には、ただ一度の注射で、それまでの痛みがうそのように消えてしまうこともあります。その理由は、諸説いわれていますが、詳しいことはまだよくわかっていません。通常の治療にはない大きな効果を期待できることが魅力といえます。
しかし、注射であるため全ての人に適用できるわけではありませんし、一定の技術や知識が要求されるため、誰でも施行できるわけでもありません。
当院では、麻酔科外来が、神経ブロック治療を行っています。これまでに、椎間板ヘルニアや帯状疱疹の痛み、首、肩、後頭部の痛みにことに良好な結果を得ています。
さらに詳しくお知りになりたい方はいつでもご相談ください。