第63回 前立腺がん早期発見のための「PSA」検査について
現在、日本臨床泌尿器科医会により、PSA検査による前立腺がんの早期発見キャンペーンが実施されてします。
前立腺がんは、PSA検査で早期に発見できる病気です。今回は、この「前立腺がん」と「PSA検査」についてお話しします。
『前立腺がんとは?』
前立腺は、精液を作る機能を持つ男性だけにある臓器で、膀胱の出口付近に存在します。
前立腺がんは高齢男性の病気で、高齢化や食生活の欧米化が原因で、日本でも近年増加しており、今後さらに増加すると予測されています。
早期の前立腺がんには自覚症状がなく、がんが進行してはじめて、「尿が出にくい」、「尿に血が混じる」、「腰が痛い」等の症状が現れてきます。
前立腺がんは、早期に発見できれば完治が可能ながんですので、特に前立腺がんになりやすい「50歳以上の男性」や「40歳代でも、血縁者の中に前立腺がんにかかった人がいる人」は、症状が無くても検査を受けられることをお勧めします。
『PSA検査とは』
PSA検査は前立腺がんを発見するための血液検査です。PSAとは、前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen) と呼ばれるタンパク質で、前立腺だけで再生されます。
前立腺にがんができるとPSAが大量に血液中に流出するため、血中のPSAの量を測ることで前立腺がんを発見することができます。一般に、PSA値が高いほど前立腺がんの危険性も高くなります。
『PSAが高値の場合は?』
PSA値が高かった場合は、さらに詳しい検査で前立腺がんかどうか調べます。この検査には、前立腺の大きさや形を調べる「超音波検査」や、前立腺の組織を採取してがん細胞の有無を調べる「前立腺生検」などがあります。
『前立腺がん検診の現状』
前立腺研究財団がまとめた2002年の前立腺がん検診では、50歳以上の男性約32,000人が検診を受け、PSA値に異常があった人が8.9%、最終的にがんが見つかった人が1.37%で、約73人に1人という非常に高率でがんが見つかっています。
『PSA値検査は、どこで受けられる?』
PSA検査は簡単な血液検査ですので、泌尿器科はもちろん、泌尿器科以外のかかりつけ医でも受けられます。また、検診や人間ドックでも、PSA検査を実施しているところもあります。50歳以上の男性で今までにPSA検査を受けたことの無い方は、早期発見のために、ぜひPSA検査を受けてください。
大田市立病院 外科系診療部副部長 岸 浩史