
第02回 お尻で悩んでいませんか?
外科医長 上野 正(前任)
お尻の痛み、出血、下着が便で汚れるなど一人で悩んでいませんか?
その原因として最も多いのは、痔核です。人間の肛門には静脈叢(じょうみゃくそう)といって血管が、網膜状に集まっている部分があり、肛門を閉じる時のクッションの役目をしています。その部分の血管が、腫れることによって出来るのが痔核です。
直立歩行の人類特有の病気といわれ、症状の出ない人を含めると、成人の約半数が痔核を持っていると推測されています。
特に、女性の場合、産後に症状が現れやすく、長い間悩まれている方も多いようです。決して特殊な恥ずかしい病気ではありません。
[1]肛門の外に出っぱなしで戻らない [2]座れないほどの激しい痛みがある [3]出血が多く貧血をきたす、などの場合は手術の対象となりますが、大半は、薬で症状が軽快します。病院に行ったら直ちに切られてしまうわけではありません!
それよりも怖いのは、自分で勝手に痔だと思い込んでしまうことです。
痔によく似た症状であっても、特に直腸がん、潰瘍性大腸炎などの病気が潜んでいることがあります。特に、便の周りにまとわりつくような出血の仕方、粘液のような便に血が混じる、下痢と便秘を繰り返しスッキリと出た感じがしない、などの場合は要注意です。
悩んでいるより一度、診察してもらいましょう。
最後に痔を予防するコツとして、[1]毎日入浴しお尻を清潔にする [2]下痢や便秘をしないようにし、トイレは我慢しない [3]腰やお尻を冷やさない [4]立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ姿勢を長時間続けない [5]アルコール、香辛料などの刺激物を控える、などが挙げられます。
